応募書類の「希望年収」欄や面接の「ご希望の年収は?」。何%上乗せして答えればいいのか、手が止まる人は多いはずです。高く書けば落とされそうで、低く書けば入社後に後悔しそう。とくに50代は、今の年収がすでに高めなぶん、上げ幅の出し方ひとつで印象が大きく変わります。
この記事では、マイナビが2026年9月24日に公表した「転職活動実態調査(2026年)」の数字を手がかりに、希望年収は今の年収から何%上げて伝えるのが自然か、そして50代がそのまま使える答え方の例文をまとめます。年収が下がるケースの考え方は転職で年収が下がるのはどんな時?、面接で「下げられますか」と聞かれたときの返し方は「年収は下げられますか」と聞かれた50代の答え方で扱っています。本記事は「上げ幅をどう伝えるか」に絞った話です。
結論|上げ幅は「現年収の5〜10%」を上限の目安に、幅で伝える
先に結論です。希望年収は「現年収+5〜10%」を上限側の目安にし、下限(これ以下なら生活が回らない額)とセットの幅で伝えるのが、いちばん角が立ちにくい答え方です。
| 伝え方 | 例(現年収600万円の場合) | 印象 |
|---|---|---|
| 一点で高めに言う | 「700万円を希望します」(+約17%) | 根拠がないと「条件が合わない人」と見られやすい |
| 幅で伝える(おすすめ) | 「600万〜650万円を希望します。最低ラインは580万円です」 | 交渉の余地があり、話を前に進めやすい |
| 「御社規定に従います」だけ | 数字を出さない | 無難だが、提示額が大きく下がっても断りにくくなる |
上の表の「600万〜650万円」は、600万円の+5%が630万円、+10%が660万円という計算から、キリのよい数字で上限を置いた例です。





データで見る「希望年収の上げ幅」の相場
いちばん多いのは「5〜10%アップ」、次が「10〜20%アップ」
マイナビ「転職活動実態調査(2026年)」は、2025年7月〜2026年6月に転職活動をした20〜50代の正社員1,500名(転職者500名・転職活動者1,000名)に、2026年7月に聞いた調査です。希望する年収の上昇幅は次のとおりでした。
- 5%以上〜10%未満:33.2%(最多)
- 10%以上〜20%未満:20.3%
つまり、3人に1人は「1割未満の上乗せ」を希望しており、2割を超える上乗せを求める人は少数派です。希望年収を現年収の+5〜10%に置くのは、転職市場の平均的な感覚に沿った数字だといえます。
それでも「年収が下がる転職は受け入れられない」人が68.6%
同じ調査では、年収が下がる転職は受け入れられないと答えた人が計68.6%でした。上げ幅は控えめでも、「下がるのは嫌」という線ははっきり持っている人が多いわけです。希望年収は上限(希望)と下限(譲れない線)の2つで考えると、この感覚にそのまま合います。
40代・50代は「上昇を特に求めていない」人の割合が高い
年代別に見ると、40代・50代は若い世代に比べて年収の上昇を特に求めていない割合が高い傾向がありました。さらに、希望額に届かなくても転職する条件として「仕事内容・やりがい」「人間関係・職場環境」を挙げる人が4割を超えています。50代にとって希望年収は「いくら上げるか」より、どこまで下げずに済むか・何と引き換えにするかの数字になりやすいということです。







50代が希望年収を決める3ステップ
ステップ1:「現年収」を正しく出す(手当・賞与込みの総額)
まず比べる土台をそろえます。現年収は額面の総支給額(基本給+各種手当+賞与)で出し、源泉徴収票の「支払金額」で確認するのが確実です。残業代が多い人は、残業がほぼない月の水準も別にメモしておくと、転職先の条件と比べやすくなります。
ステップ2:「下限」を生活費から逆算する
次に、これ以下だと家計が回らない額を決めます。住宅ローン・教育費・老後資金の積立など、毎月必ず出ていくお金から逆算した数字が下限です。下限は交渉で譲らない線なので、面接の前に家族とも共有しておくとぶれません。
ステップ3:「上限」は現年収+5〜10%を目安に置く
最後に上限です。調査で最も多かった上げ幅に合わせて、現年収の+5〜10%を置きます。管理職経験や資格など、応募先で明確に評価される材料がある場合だけ、10%を超える上乗せを検討します。その場合も「なぜその額なのか」を一言で説明できることが条件です。







そのまま使える「希望年収の答え方」例文4つ
例文1:幅で伝える(書類・面接どちらでも使える基本形)
「現在の年収は600万円です。希望は600万〜650万円で考えております。ただ、仕事内容や今後の役割によって柔軟に考えたいと思っております。」
現年収と希望の幅を同時に出す形です。「柔軟に」を添えることで、交渉の余地を残しつつ、数字の根拠が現年収にあることも伝わります。
例文2:下限をはっきり言う(生活の事情がある場合)
「希望は600万〜650万円ですが、家計の事情から580万円を下回ると入社が難しいのが正直なところです。その範囲でご検討いただけますと幸いです。」
下限を理由と一緒に伝えると、わがままではなく「事情のある条件」として受け取られやすくなります。
例文3:上げ幅に根拠をつける(10%超を狙う場合)
「前職では10名のチームを率いて、新規顧客の開拓を担当してきました。御社でも同じ役割を期待いただけるのであれば、680万円程度を希望いたします。」
10%を超える額を出すときは、応募先の求める役割と、自分の実績を結びつける一文を必ず前に置きます。数字だけが先に出ると、根拠のない高望みに見えてしまいます。
例文4:年収以外の条件と組み合わせる(上げ幅にこだわらない場合)
「年収は現状維持の600万円前後を希望しています。そのうえで、長く働ける環境を重視しておりますので、定年後の継続雇用の条件についても教えていただけますと助かります。」
調査で40代・50代に多かった「仕事内容・職場環境を重視する」考え方をそのまま言葉にした形です。





希望年収でやりがちなNG3つ
NG1:根拠なく2割以上を一点で書く
調査で2割超の上乗せを求める人は少数派でした。根拠なく大きな上げ幅を一点で書くと、書類の段階で「条件が合わない」と判断されるおそれがあります。
NG2:「御社の規定に従います」だけで数字を出さない
謙虚に見えますが、提示額が大きく下がったときに「規定に従うと言ったので」と断りにくくなります。数字を出さないなら、最低でも下限だけは面接で伝えるようにします。
NG3:現年収を盛る
現年収は、入社手続きで源泉徴収票を出す場面で確認されることがあります。数字を盛ると信頼を失うだけなので、現年収は正確に、上げ幅で調整するのが鉄則です。





「将来の収入増」なら希望額未満でもいいのか
同じ調査で、希望額に届かなくても転職する条件として最も多かったのは「将来的な収入増加が見込める」(47.6%)でした。入社時は希望額より低くても、昇給や役職で取り戻せるなら受ける、という考え方です。
ただし50代の場合、定年や役職定年までの残り年数が限られます。「将来上がる」を判断材料にするなら、何年後に・いくらまで・どんな条件で上がるのかを、内定後の条件確認の場で具体的に聞いておくことが欠かせません。口頭の見込みだけで決めず、評価制度や昇給の実績を確認してから判断しましょう。役職定年で年収が下がる前提の考え方は役職定年で年収3割減|50代がその後にとれる3つの選択肢で整理しています。




年収の話は、第三者を挟むと言いやすくなる
希望年収を自分で伝えるのは、どうしても遠慮が出ます。とくに50代は「高望みだと思われたくない」気持ちが強く、下限まで言えずに内定を受けてしまうことも少なくありません。
転職エージェントを通すと、希望年収の幅と下限を担当者に預けて、企業との条件のすり合わせを代わりに進めてもらえます。応募先の過去の採用で、どのくらいの年収で決まっているかという相場感を聞けることもあります。どのエージェントが自分の経歴に合うか分からない段階なら、複数のエージェントを比べて紹介してくれるサービスから始めると手軽です。▶ 転職エージェントナビの無料相談で、年収交渉まで任せられるエージェントを聞いてみる![]()



あわせて読みたい関連記事
- 50代の転職で年収は維持できる?希望レンジの作り方
- 「年収は下げられますか」と聞かれた50代の答え方|例文4つ
- 転職で年収が下がるのはどんな時?回避策と下げない交渉術
- 役職定年で年収3割減|50代がその後にとれる3つの選択肢
- ビズリーチとリクルートエージェントの違い|どっちを使う?
まとめ
- 希望年収の上げ幅は「5〜10%」が最多(33.2%)。現年収+5〜10%を上限の目安にする
- 一方で68.6%が「年収が下がる転職は受け入れられない」。上限と下限の幅で考える
- 40代・50代は上昇を特に求めない割合が高く、仕事内容・職場環境を重視する人が4割超
- 決める順番は「現年収 → 下限 → 上限」。下限は生活費から逆算し、面接前に家族と共有する
- 答え方は「現年収・希望の幅・理由」の3点をそろえる。10%超を狙うなら実績と役割を結びつける
- 「将来上がる」を理由に受けるなら、何年後に・いくらまで上がるかを具体的に確認する
出典:株式会社マイナビ「転職活動実態調査(2026年)」(2026年9月24日公表/調査期間2026年7月1日〜15日/20〜50代の正社員1,500名)。



コメント