内定が2社出て、片方は年収が高く、もう片方は仕事内容に惹かれる。あるいは、今の会社は給料はそこそこだけれど、仕事にやりがいを感じられない。転職を考えると、多くの人が「年収とやりがい、結局どっちを取るべきか」で手が止まります。
この記事では、マイナビが2026年9月24日に公表した「転職活動実態調査(2026年)」の数字を手がかりに、年収とやりがいのどちらを優先するかを決める順番を整理します。先に言うと、答えは「どっちか一方」ではなく、年収の下限を先に決めてから、その範囲でやりがいを選ぶという手順です。
結論|「年収の下限」を先に決め、その上でやりがいで選ぶ
年収とやりがいは、同じ物差しで比べられないから迷います。そこで比べ方を2段階に分けます。
| 段階 | やること | 判断の基準 |
|---|---|---|
| ①足切り | 生活に必要な「下限年収」を計算する | 下限を割る求人は、やりがいがあっても候補から外す |
| ②選択 | 下限を超えた求人の中で、仕事内容・職場環境を比べる | 今の不満を解消できるか、続けられるか |
| ③確認 | 年収が希望に届かない場合は「将来の収入増」の根拠を聞く | 昇給・評価の仕組みが説明できるか |
役割を分けると、2つを無理に天秤にかける必要がなくなります。





データで見る|転職者は年収とやりがいをどう天秤にかけているか
マイナビ「転職活動実態調査(2026年)」は、直近1年間に転職活動をした20〜50代の正社員1,500名(転職者500名・転職活動者1,000名)に、2026年7月にインターネットで聞いた調査です。年収とやりがいの関係が読み取れる数字を拾います。
給与が転職の動機に入っている人は87.4%
転職の動機における給与の位置づけは、「主要な動機」27.9%、「比較的重要」38.1%、「動機の一つ」21.3%で、合計87.4%でした。転職理由として「給与が低かった」を挙げた人も29.4%います。年収をまったく気にしない転職は、ごく少数派だということです。
それでも「年収の上昇を特に求めていない」人が19.0%
一方で、希望する年収の上昇幅を聞くと、最多は「5%以上〜10%未満」の33.2%、次が「10%以上〜20%未満」の20.3%で、「上昇を特に求めていない」も19.0%いました。5人に1人は、年収アップよりほかの条件を優先して動いていることになります。
希望額に届かなくても転職する理由の1位は「将来の収入増」47.6%
希望年収に届かなくても転職する条件として最も多かったのは「将来的な収入増加が見込める」(47.6%)、次が「労働時間・働き方が改善される」(44.5%)でした。入社時の額より、先の伸びしろや働き方を見て判断している人が多いわけです。
40代・50代は「仕事内容・やりがい」「職場環境」で妥協する人が4割超
年代別では、40代・50代で「仕事内容・やりがいの向上」「人間関係・職場環境の改善」を理由に、希望額未満でも転職する割合がそれぞれ4割を超えていました。年齢が上がるほど、年収だけでなく「どんな仕事を、誰と、どう続けるか」の比重が高まる傾向が読み取れます。






年収を優先したほうがいい人の特徴
次のどちらかに当てはまるなら、まずは年収の条件を優先して求人を絞るほうが後悔が少なくなります。
教育費・住宅ローンなど、これから出費の山が来る人
子どもの進学や住宅ローンの返済が数年以内に重なる時期は、やりがいで選んだ結果として手取りが下がると、家計の計画そのものが崩れます。この時期に限っては「やりがいは入社後に育てる」と割り切り、下限年収を高めに置くのが現実的です。家族への伝え方は50代の転職、家族にどう伝える?でも扱っています。
退職金・年金の見込みが年収や勤続年数で変わる人
50代の転職では、目先の年収だけでなく、今の会社を辞めることで減る退職金や、将来の年金額への影響も「年収の一部」として見る必要があります。退職金の計算方法は会社ごとの規程で決まるため、まず就業規則や退職金規程で、今辞めた場合と定年まで勤めた場合の差を確認しておきましょう。定年後再雇用との比較は再雇用で残るか、50代のうちに転職するかが参考になります。




やりがいを優先してよい人の特徴
反対に、次の条件がそろっているなら、やりがいや職場環境を優先して選んでも、後悔しにくい状態です。
下限年収を満たし、生活防衛資金がある人
候補の求人が下限年収をクリアしていて、万一合わなかったときに数か月は生活できる貯えがあるなら、仕事内容で選ぶ余地は十分にあります。


今の不満が「お金」ではなく「仕事内容・人間関係」の人
転職したい理由を書き出してみて、上位に来るのが「仕事にやりがいがない」「職場の人間関係がつらい」なら、年収を上げても不満は解消しません。年収だけで選ぶと、同じ理由でまた転職を考えることになりがちです。





迷ったときに決める3ステップ
ここまでの話を、実際に求人を比べるときの手順にまとめます。
- 下限年収を計算する:毎月の固定費、これから数年の大きな出費、退職金の減り方を足し上げ、「これを割ったら生活が回らない額」を出す。
- 今の不満を順位づけする:給与・仕事内容・人間関係・労働時間・評価のうち、何が一番つらいかを1〜5位で並べる。
- 下限を超えた求人の中で、1位の不満を解消できる会社を選ぶ:年収が希望より低い場合は、面接で昇給や評価の仕組みを具体的に聞き、「将来の収入増」の根拠があるかを確かめる。
下限年収の作り方は50代の転職で年収は維持できる?損しない希望レンジの作り方で詳しく解説しています。





やりがいで選ぶ前に確認したい4つのポイント
やりがいは入社前には見えにくい条件です。次の4点は、面接や面談の場で確認しておきましょう。
- 配属先と担当業務:「やりたい仕事」が入社直後から担当できるのか、数年先なのか。
- 働き方の条件:残業時間の目安、休日、リモートの可否。調査でも「労働時間・働き方の改善」は希望額未満でも転職する理由の2位(44.5%)でした。
- 評価と昇給の仕組み:年収が下がる場合に、どの程度の期間で取り戻せる見込みがあるか。
- 一緒に働く人:上司になる人と話す機会があるか。職場環境は求人票だけでは分かりません。


年収とやりがいの両方を、ひとりで比べるのは難しい
年収は数字で比べられますが、やりがいや職場の雰囲気は、求人票だけではほとんど見えません。しかも自分で年収の話を切り出すのは遠慮が出やすく、とくに50代は「条件ばかり気にする人」と見られたくない気持ちから、確認すべきことを聞きそびれがちです。
転職エージェントを使うと、下限年収を担当者に伝えたうえで、配属先の業務内容や職場の様子、過去の採用でどのくらいの年収で決まっているかといった、求人票にない情報を聞ける場合があります。どのエージェントが自分に合うか分からない段階なら、複数のエージェントを比べて紹介してくれるサービスから始めると手軽です。▶ 転職エージェントナビの無料相談で、年収と仕事内容の両方を相談できるエージェントを聞いてみる![]()




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まとめ
- 転職の動機に給与が含まれる人は87.4%。年収を気にするのは当たり前
- それでも「年収の上昇を特に求めていない」人が19.0%、40代・50代は「仕事内容・やりがい」「職場環境」を理由に希望額未満でも転職する人が4割超
- ただし「年収が下がる転職は受け入れられない」人も68.6%。やりがい派も下限は守っている
- 決め方は、①下限年収で足切り→②不満の1位を解消できる会社を選ぶ→③将来の収入増の根拠を確かめるの3ステップ
- 50代は退職金や残りの勤続年数まで含めた総額で年収を比べる
年収とやりがいは、どちらかを捨てる選択ではありません。「いくらあれば足りるか」を先に決めてしまえば、残るのは「どこで、どんな仕事をしたいか」という前向きな問いだけです。
出典:株式会社マイナビ「転職活動実態調査(2026年)」(2026年9月24日公表/調査期間2026年7月1日〜15日/直近1年間に転職活動をした20〜50代の正社員1,500名)。



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