早期退職に応じた50代のその後|年収半減の現実と、応じる前にやる3つの試算

転職コラム





📢 応援クリックで励みになります!

にほんブログ村 キャリアブログへにほんブログ村 ライフスタイル 40代の生き方へ

社内に早期退職の募集が出た。割増退職金の金額を見て、心が少し動いた。でも同時に、「応じた人は、そのあとどうなったんだろう」という不安が消えない——この記事にたどり着いた方の多くが、いまその状態だと思います。

ここでは「思い切って良かった」という感想ではなく、応じたあとに何が起きて、どこで生活が苦しくなるのかを、制度と数字の側から整理します。募集期間には締切があります。判断そのものより先に、判断の材料をそろえましょう。

  1. 結論|その後を決めるのは割増額ではなく「無収入で持ちこたえられる月数」
    1. 年収が下がること自体より、「下がった状態が何年続くか」が家計を壊す
    2. 「年収半減」は起こりうる。ただし起こる条件はかなりはっきりしている
  2. いま早期退職はどれくらい起きているのか|2025年度は2万781人
    1. 2025年度の募集人数は前年度の約2.5倍に急増している
    2. 約7割が黒字企業=「会社が傾いたから」とは限らない
  3. 応じた50代のその後に起きやすい3つのパターン
    1. ①同業・同職種で再就職|下げ幅は読める範囲に収まりやすい
    2. ②異業種・未経験に挑戦|半減もありうるし、時間もかかる
    3. ③しばらく働かない|取り崩しは想定より必ず速い
  4. 試算①|割増を含めた退職金の「手取り」を出す
    1. 退職所得控除があるので、額面と手取りの差は思ったより小さいことも多い
    2. ただし「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと源泉徴収が重くなる
  5. 試算②|失業給付が「いつから・何日分」出るかを確認する
    1. 人員整理目的の希望退職募集なら「特定受給資格者」になりうる
    2. 常設の「早期退職優遇制度」に応募した場合は該当しない
  6. 試算③|「持ちこたえられる月数」を出して、動く順番を決める
    1. 計算式は「(退職金手取り+失業給付の総額+貯蓄)÷ 毎月の生活費」
    2. 出た月数が12か月未満なら、辞める前に活動を始めるのが安全側
  7. 応じたあとに後悔しやすい3つの落とし穴
  8. 今週やること|7日間の行動リスト
  9. あわせて読みたい関連記事
  10. まとめ

結論|その後を決めるのは割増額ではなく「無収入で持ちこたえられる月数」

最初に結論から書きます。早期退職に応じた50代のその後が分かれるのは、割増退職金が多かったか少なかったかではありません。次の収入が入るまでの空白を、何か月分そろえて辞めたかです。

年収が下がること自体より、「下がった状態が何年続くか」が家計を壊す

再就職して年収が2〜3割下がるのは、50代の転職では珍しいことではありません。問題はそこではなく、下がった年収を前提にした生活へ切り替える時期が遅れることです。退職金という一時金が口座にあるうちは、支出のサイズが以前のまま維持されがちで、気づいたときには取り崩しが想定より進んでいます。

「年収半減」は起こりうる。ただし起こる条件はかなりはっきりしている

半減までいくケースには共通点があります。業種も職種も同時に変える役職手当が年収の柱になっていた活動が長期化して条件を下げざるをえなくなった。逆に、同業・同職種で、かつ在職中から動き始めた人は、下げ幅が読める範囲に収まりやすいのが実感です。半減は「運が悪かった結果」ではなく、条件がそろったときに起きる現象だと考えてください。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
素朴な疑問なんですが、割増退職金がしっかり出るなら、しばらくは大丈夫なんじゃないですか?数年分の生活費くらいにはなりそうな気がして……。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
先に言っておくと、僕自身は早期退職の当事者じゃない。だから体験談として語れるのは「転職活動そのものがどれだけ時間を食うか」のほうなんだ。応募しても書類が通らない時期って本当にあって、そこで焦って条件を下げると、下げ幅が戻らなくなる。時間はお金と同じくらい大事な資源だよ。
りこ先生(CDA)
りこ先生
相談の現場でも同じ傾向があるわ。「いくらもらえるか」は熱心に調べるのに、「いつまで無収入か」を計算していない方がとても多いの。金額は会社が教えてくれるけれど、期間は自分で見積もるしかない。だから抜け落ちるのよ。

いま早期退職はどれくらい起きているのか|2025年度は2万781人

「うちの会社だけ」と感じている方も多いのですが、数字を見ると状況が変わって見えます。

2025年度の募集人数は前年度の約2.5倍に急増している

東京商工リサーチの集計によると、2025年度に早期・希望退職を募集した上場企業は46社、募集人数は2万781人で、前年度(8,326人)の約2.5倍に急増しました。2009年度以降で4番目の高水準です(出典:東京商工リサーチ「2025年度の『早期・希望退職』は2万781人」2026年4月30日)。暦年ベースでも2025年は43社・1万7,875人で、リーマン・ショック以降3番目の水準でした。

約7割が黒字企業=「会社が傾いたから」とは限らない

同じ集計で、募集した企業のうち直近決算が黒字だった企業は約7割(32社・構成比69.5%)。いわゆる「黒字リストラ」です。応募者も50歳以上が中心で、三菱ケミカルグループでは50歳以上の1,273人が応募したと報じられています。つまりこれは業績不振の後始末ではなく、事業構造を入れ替えるために設計された募集だということです。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
黒字なのに募集するんですか。それって、残っても居場所が減っていくということですよね……?
りこ先生(CDA)
りこ先生
そう決めつけるのは早いわ。ただ、「残れば今のままが続く」という前提だけは崩れていると考えたほうが安全ね。残る側の未来も一度は数字にしてみて。応じるか残るかの比較軸は早期退職募集に応じるべき?後悔しない判断基準で整理しているわ。

応じた50代のその後に起きやすい3つのパターン

相談内容や体験談を並べると、その後の進み方はおおむね3つに分かれます。自分がどれになりそうかを、先に見当づけておくのが有効です。

①同業・同職種で再就職|下げ幅は読める範囲に収まりやすい

いちばん着地が読めるルートです。役職手当や大企業の水準がなくなる分は下がりますが、経験がそのまま値段になるため、極端な落ち方は起きにくい。ただし「同じ仕事を、より小さい体制で回す」ことになる場合が多く、業務範囲は広がります。

②異業種・未経験に挑戦|半減もありうるし、時間もかかる

もっとも幅が出るルートです。年収が半分近くになる例はここに集中します。加えて、決まるまでの期間も長くなりがちで、収入減と空白期間の長期化が同時に来るのがつらいところ。挑戦を否定はしませんが、蓄えの厚さとセットで考える必要があります(線引きは50代の未経験職種チャレンジはどこまで可能?を参照)。

③しばらく働かない|取り崩しは想定より必ず速い

「少し休んでから考える」という選択です。悪くはないのですが、休む期間を先に決めていない場合だけは危険。社会保険料や住民税は退職後も請求が来ますし、前年の所得をもとに計算されるため、収入が消えた年に負担のピークが来ます。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
住民税、忘れてました。収入がゼロの年に、去年の分の請求が来るんですね。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
ここは本当に見落とされやすい。健康保険も、任意継続か国民健康保険かで負担がだいぶ変わるしね。辞めてから調べるんじゃなくて、辞める前に会社の窓口で金額を出してもらうといい。聞けば教えてくれるよ。
りこ先生(CDA)
りこ先生
①〜③のどれを選ぶかは、実は「持ちこたえられる月数」が決めてくれるの。月数が長い人は②を選べるし、短い人は①一択になる。だから次の3つの試算を先にやってほしいのよ。

試算①|割増を含めた退職金の「手取り」を出す

提示される金額は額面です。まず手取りに直すところから始めます。

退職所得控除があるので、額面と手取りの差は思ったより小さいことも多い

退職金は給与とは別枠で課税され、退職所得控除が使えます。勤続20年超であれば「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」が控除額で、控除後の金額をさらに1/2にしたものが課税対象です(勤続5年超の場合)。勤続30年なら控除額は1,500万円。数字を当てはめるだけなので、必ず自分の勤続年数で一度計算してください

ただし「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと源泉徴収が重くなる

この申告書を勤務先に提出していないと、退職所得控除が適用されないまま一律の税率で源泉徴収されます。あとで確定申告すれば取り戻せますが、手元に入るタイミングが変わるため、資金計画がずれます。割増額そのものの相場感は早期退職の割増退職金はいくら?応じる前に確認する5項目で扱っています。

りこ先生(CDA)
りこ先生
それと、企業年金や確定拠出年金がある方は、受け取り方によって課税が変わるわ。一時金か年金かで結果が違うので、ここは会社の担当窓口か税務署に必ず確認してね。ネットの一般論で決めていい部分ではないの。
みなと(読者代表・35歳)
みなと
「額面のまま入ってくる」と思い込んでいたら、計画がまるごとずれますね。まず手取りに直す——メモしました。

試算②|失業給付が「いつから・何日分」出るかを確認する

ここが早期退職でいちばん誤解の多い部分です。同じ「自分から辞める」でも、扱いが二通りに分かれます

人員整理目的の希望退職募集なら「特定受給資格者」になりうる

ハローワークの基準では、人員整理を目的として離職前1年以内に導入され、募集期間が3か月以内である希望退職の募集に応じて離職した場合、特定受給資格者(いわゆる会社都合扱い)と判断されうるとされています(出典:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」)。この扱いになると給付制限がかからず、所定給付日数も長くなります。

常設の「早期退職優遇制度」に応募した場合は該当しない

一方、恒常的に設けられている早期退職優遇制度への応募は特定受給資格者に該当しません。この場合は自己都合離職として扱われ、2025年4月1日以降の離職では原則1か月の給付制限期間が置かれます(2025年3月31日以前の離職は原則2か月)。「割増が出る=会社都合」ではないということです。自社の募集がどちらの形式なのかは、募集要項の文言と導入時期で判断が変わるため、離職票を持ってハローワークで確認してください。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
同じ「早期退職」という言葉でも、中身が別物なんですね。これ、金額に何十万円も差が出ませんか?
りこ先生(CDA)
りこ先生
差は出るわ。給付制限の有無だけでなく、所定給付日数そのものが変わるから。基本手当日額には上限があって毎年8月に改定されるので、金額は最新の表で確認してね。ハローワークの窓口で「私はどの区分になりますか」と聞くのがいちばん確実よ。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
ここ、応募を決める前に聞きに行っていい話なんだよね。まだ辞めていない段階でも、制度の一般的な扱いは相談できる。締切に追われて後回しにしがちだけど、優先度は高いよ。

試算③|「持ちこたえられる月数」を出して、動く順番を決める

①と②が出たら、最後にこの一本の式に落とします。

計算式は「(退職金手取り+失業給付の総額+貯蓄)÷ 毎月の生活費」

分母の生活費には、住宅費・食費だけでなく、国民健康保険料(または任意継続の保険料)・国民年金保険料・住民税を必ず入れてください。会社が半分払っていた分と、給与天引きで見えていなかった分が、そのまま自己負担として現れます。ここを入れ忘れると、算出される月数が実態より2〜3割長く出ます。

出た月数が12か月未満なら、辞める前に活動を始めるのが安全側

50代の転職活動は、書類選考の通過率が低い時期をまたぐ前提で考える必要があります。持ちこたえられる月数が12を下回るなら、在職のまま活動を始めて、内定を見てから応募の可否を決めるのが順当です。募集の締切に間に合わないなら、それは「今回は見送る」という答えでもあります。

ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
月数を出すには「再就職後にいくらもらえそうか」の目安も要る。これは登録して届く求人を見るのがいちばん早いんだ。応募しなくていいから、自分の経験に今いくらの値段がつくのかだけ先に見ておく。管理職・専門職の層を扱うところなら相場が分かりやすいよ。▶ JAC Recruitmentで無料相談してみる(公式)
りこ先生(CDA)
りこ先生
相場が分かると、希望年収の「下限」を自分で決められるようになるわ。下限が決まっていない人ほど、活動が長引いたときに際限なく下げてしまうの。下限の作り方は50代の転職で年収は維持できる?希望レンジの作り方で説明しているわね。

応じたあとに後悔しやすい3つの落とし穴

その後がうまくいかなかったケースには、判断そのものではなく手順に共通の躓きがあります。

  • ①退職日を先に決めてしまう|割増の条件に釣られて日付を確定させると、活動期間を自分で削ることになります
  • ②割増額の大きさだけで比べてしまう|比べるべきは「割増額」ではなく「割増額+失業給付−無収入期間の支出」の差引き
  • ③家族に金額だけ伝えて期間を伝えない|金額は安心材料になりますが、半年後に「まだ決まらないの」となったとき、話が最初からになります
みなと(読者代表・35歳)
みなと
③は想像がつきます。「お金はある」より「何か月かかる見込み」のほうが、家族には大事な情報なんですね。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
そのとおり。期間を先に共有しておくと、途中で焦らずに済む。伝え方そのものに迷うなら50代の転職、家族にどう伝える?もあわせて読んでみて。

今週やること|7日間の行動リスト

  • 1〜2日目|募集要項を読み、「人員整理目的か」「導入時期」「募集期間」の3点を書き出す
  • 3日目|自分の勤続年数で退職所得控除を計算し、退職金の手取り概算を出す
  • 4日目|会社の窓口で、健康保険(任意継続/国保)と住民税の退職後負担額を確認する
  • 5日目|ハローワークで、自分の離職がどの区分になりうるかを相談する
  • 6日目|「持ちこたえられる月数」を計算する(分母に社会保険料・住民税を入れる)
  • 7日目|エージェントに登録し、今の経験に届く求人の年収レンジだけを見る

この7日間では、応じるか応じないかを決めなくて構いません。決めるための数字を6つそろえるのが目的です。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
1日1つずつなら手が動かせそうです。「決めない7日間」があると考えるだけで、少し落ち着きますね。

あわせて読みたい関連記事

まとめ

早期退職に応じた50代のその後は、割増額ではなく準備した月数で決まります

  • 年収半減は起こりうるが条件がある|業種と職種を同時に変える/役職手当が柱/活動の長期化
  • 募集は増えている|2025年度は46社・2万781人で前年度の約2.5倍、うち約7割が黒字企業(東京商工リサーチ)
  • 試算①|退職所得控除を使って、割増込みの手取りを出す
  • 試算②|人員整理目的の希望退職か、常設の優遇制度かで失業給付の扱いが変わる
  • 試算③|(手取り+給付+貯蓄)÷生活費。12か月未満なら在職のまま動く

締切が近いほど、金額の大きさだけが目に入ります。けれどあなたの生活を守るのは、割増額ではなく「あと何か月なら耐えられるか」という一つの数字です。今日はまず、募集要項の「募集期間」の行を探すところからで十分です。

りこ先生(CDA)
りこ先生
最後にひとつだけ。この記事の制度の説明は枠組みで、あなたに当てはまる金額や日数は個別に違うわ。判断の前に、必ずハローワーク・年金事務所・勤務先の人事・税務署で自分の数字を確かめてね。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
応じるにしても見送るにしても、材料をそろえてから選んだ人はあとで揺れない。逆に、金額だけで飛び込むと、半年後に「あのとき何を考えていたんだっけ」となる。まずは数字を6つ、そろえていこう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました