早期退職の割増退職金はいくら?50代が「応じる前」に確認する5項目

転職コラム





📢 応援クリックで励みになります!

にほんブログ村 キャリアブログへにほんブログ村 ライフスタイル 40代の生き方へ

会社から早期退職・希望退職の募集案内が回ってきた。上乗せ額の提示はあるけれど、その金額が多いのか少ないのか、比べる基準がない。しかも回答期限は数週間先。——この記事では厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」と国税庁・ハローワークの一次情報だけを使って、提示額の評価軸と、判を押す前に確認すべき5項目を整理します。結論から書くと、割増退職金は提示された金額そのものを見ても判断できません。見るべきは「今すぐ自己都合で辞めた場合と何か月分違うか」です。

結論|割増分は「提示額」ではなく「自己都合との差」で測る

みなと(読者代表・35歳)
みなと
会社の先輩が早期退職の募集案内を受け取ったんですが、「上乗せ○○万円」と言われてもそれが妥当なのか誰も分からないらしくて。相場ってあるんですか?
りこ先生(CDA・キャリアアドバイザー)
りこ先生
いい質問。まず前提として、「割増分だけ」を集計した公的統計は存在しないの。ネットの「月給の○か月分」は出典が示されていないものが多いわ。でも「早期優遇で辞めた人の退職給付総額」なら厚生労働省が調べている——「令和5年就労条件総合調査」第22表よ。本文にもはっきり「どの学歴においても『早期優遇』が最も高くなっている」と書かれているわ。

公的統計では「早期優遇」がすべての学歴で最も高い

退職事由 大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
早期優遇 2,266万円(39.9か月分) 2,432万円(58.0か月分) 2,146万円(60.7か月分)
定年 1,896万円(36.0か月分) 1,682万円(38.6か月分) 1,183万円(34.3か月分)
会社都合 1,738万円(27.9か月分) 1,385万円(33.8か月分) 737万円(25.0か月分)
自己都合 1,441万円(30.3か月分) 1,280万円(33.3か月分) 921万円(29.5か月分)

出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」第22表(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者1人平均退職給付額/かっこ内は退職時の所定内賃金に対する月収換算)

比べる相手は「定年まで勤めた場合」ではなく「今すぐ辞めた場合」

ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
この表、最初は「定年より高いのか」と驚いた。ただ比べる相手を間違えると読み違えるんだ。応じるか迷っている人が本当に比べるべきなのは「定年まで勤めた場合」じゃなく「今すぐ自分の意思で辞めた場合」。定年まで残れる保証があるなら、そもそも悩んでいないはずだからね。
りこ先生
りこ先生
その通り。早期優遇と自己都合の差を取ると、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で約825万円、月収換算で9.6か月分。高校卒(管理・事務・技術職)は約1,152万円で24.7か月分、高校卒(現業職)は約1,225万円で31.2か月分よ。大学卒がいちばん上乗せ幅が小さい——意外でしょう? ただし注意書きも添えるわね。この表の3つの事由はそれぞれ別の人の集団で、同じ人が事由を変えたらいくらになるかを追跡した数字ではないの。厳密な「上乗せ額」ではなく、自社の提示額を置いてみる物差しとして使って。

確認①|提示額のうち「本来の退職金」と「割増分」を分けて出してもらう

ユウタ
ユウタ
ここが最初の関門。募集要項の総額は、「就業規則どおりの退職金」+「今回の割増分」の合計であることがほとんどなんだ。総額を見て「2,000万円ももらえる」と思っても、そのうち1,700万円は今すぐ自己都合で辞めても出るお金かもしれない。

人事に聞く質問はこの2つだけでいい

回答期限より前に、書面で確認しておく2点

  1. 今日時点で自己都合退職した場合の退職金はいくらか(就業規則の支給率どおりの金額)
  2. 今回の募集に応じた場合の支給総額はいくらか

この差額が、あなたにとっての実質的な割増分です。1が答えられないと言われた場合は、就業規則・退職金規程の該当条文の写しを請求してください。

みなと
みなと
人事に「自己都合ならいくらですか」って聞くの、応じない前提みたいで気まずい気がします……。
ユウタ
ユウタ
その気持ちは分かる。でも退職金の計算根拠は本来オープンにされるべき情報だし、聞かれる側も想定している質問だよ。「家族に説明したいので」と前置きすれば角も立たない。数字が出ないまま期限だけ迫る状況こそ、いちばん判断を誤りやすいからね。

確認②|手取りはいくら残る?退職所得の税金は思ったより軽い

みなと
みなと
2,000万円ももらったら、税金で半分持っていかれたりしません?
りこ先生
りこ先生
そこは安心していいわ。退職所得は他の所得と分けて計算される(分離課税)うえに、控除がとても手厚いの。国税庁の計算式は(収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額。控除を引いたうえ、さらに半分にしてから税率をかけるのよ。

退職所得控除は勤続20年を超えると一気に増える

退職所得控除額の計算(国税庁 タックスアンサー No.1420)

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続25年なら1,150万円、勤続30年なら1,500万円、勤続35年なら1,850万円が控除されます。

勤続25年・支給総額2,300万円で計算してみる

りこ先生
りこ先生
実際に手を動かしてみましょう。控除額は1,150万円だから、課税対象の退職所得は(2,300万円−1,150万円)×1/2=575万円。この575万円に所得税・復興特別所得税で約74万円、住民税10%で約58万円。合計で約132万円、手取りは約2,168万円よ。給与所得ならこうはいかないわ。

「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れると約396万円が宙に浮く

りこ先生
りこ先生
ここが今日いちばん実務的な話。国税庁はこの申告書を提出しなかった場合、支払金額の20.42%が源泉徴収されると明記しているの。2,300万円なら約470万円が天引きされる。本来の所得税は約74万円だから、差額の約396万円は自分で確定申告しないと戻ってこないわ。普通は会社が用紙を配るけれど、手続きが立て込む時期に紙が1枚紛れるのは珍しくない。提出時期をこちらから一度確認しておいて。

確認③|離職票の理由ひとつで失業給付が180日変わる

みなと
みなと
会社の募集に応じるんだから、当然「会社都合」扱いになるんですよね?
りこ先生
りこ先生
そこが落とし穴なの。ハローワークインターネットサービスの「特定受給資格者の範囲」には、退職勧奨による離職について「従来から恒常的に設けられている『早期退職優遇制度』等に応募して離職した場合は、これに該当しない」とはっきり書かれているわ。常設の制度に手を挙げた場合と、人員整理のために期間限定で募集された希望退職に応じた場合とで扱いが違うの。

常設の「早期退職優遇制度」と、期間限定の「希望退職募集」は別物

りこ先生
りこ先生
一方、企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した場合は、特定理由離職者の範囲に挙げられているわ。ただし最終的にどの区分になるかを判断するのはハローワークで、離職票に会社が記載する離職理由が起点になるの。「うちの制度はどちらに当たるのか」は、応じる前に人事へ確認する価値があるわね。

45歳以上60歳未満・被保険者期間20年以上なら330日と150日

りこ先生
りこ先生
特定受給資格者(および一部の特定理由離職者)で45歳以上60歳未満・被保険者期間20年以上なら、基本手当の所定給付日数は330日。それ以外の一般の離職者は被保険者期間20年以上でも150日。同じ人・同じ勤続でも、区分が違うだけで180日分変わるの。
ユウタ
ユウタ
180日といえば約半年。次が決まるまでの生活の余裕が、そのまま半年分変わるということだよね。割増額を10万円単位で気にするなら、こちらのほうが金額インパクトは大きいかもしれない。提示額と同じ熱量で、離職票の扱いを聞いておく——これは覚えておいてほしい。

確認④|辞めた後も出ていくお金を先に並べる

りこ先生
りこ先生
見落とされがちな出費は3つ。健康保険・年金・住民税ね。健康保険は退職後、任意継続か国民健康保険を選ぶことになるけれど、在職中は会社が半分出していた保険料を、任意継続では全額自分で負担するの。年金も第1号被保険者として国民年金保険料を自分で納めることになるわ。

住民税は「辞めた翌年」に効いてくる

ユウタ
ユウタ
いちばん忘れられているのが住民税だと思う。住民税は前年の所得をもとに翌年課税されるから、収入が減っても請求は前年水準のままやってくる。しかも給与天引きがなくなって納付書で自分で払う形になるから、金額の大きさに驚くんだよね。試算するときは、必ずこの1年分を計算に入れておきたい。

退職後1年間の固定費チェックリスト

  • 健康保険料(任意継続は退職日の翌日から20日以内に申請が必要。国民健康保険との保険料比較を市区町村で確認)
  • 国民年金保険料(配偶者を扶養に入れていた場合は配偶者分も)
  • 住民税(前年所得ベース。退職時期によって一括徴収か納付書払いかが変わる)
  • 次の職が決まるまでの生活費(何か月分を見込むかを先に決める)

確認⑤|断ったとき・応じたとき、それぞれの半年後を書き出す

みなと
みなと
正直、断ったら社内で居づらくなるんじゃないかという不安のほうが大きい気がします。それで応じてしまう人もいそう。
ユウタ
ユウタ
その不安は現実的だと思う。ただ「居づらさ」への恐怖で決めると、あとで理由を思い出せなくなる。おすすめは紙に2列書くこと。左に「応じた場合の半年後」、右に「断った場合の半年後」。収入・仕事内容・家族への説明を具体的に書く。書けない欄があったら、そこがまだ情報不足だというサインだよ。
りこ先生
りこ先生
付け加えると、これは「うちだけの特別な出来事」ではないわ。東京商工リサーチによれば、2025年に早期・希望退職の募集が判明した上場企業は43社・1万7,875人で、リーマン・ショック以降で3番目の高い水準。募集社数は前年の57社から24.5%減っているのに人数は多い——1社あたりの規模が大きくなっているということね。

応じると決めたら、その週のうちに始めること

市場価値の確認は、辞めてからでは遅い

ユウタ
ユウタ
これは強くお伝えしたい。回答期限までのあいだに、自分の市場価値を一度は外部の目で見てもらっておくこと。当ブログが伴走している51歳・法人営業25年のケースでも、応募を始めてから「書類が通らない」と分かるまでに数か月を失った。在職中なら、断るという選択肢を残したまま情報だけ取れる。この差は大きいよ。
りこ先生
りこ先生
順番は①職務経歴書を最新にする →②エージェントに現在の条件を伝えて反応を見る →③そのうえで応じるか決めるね。②で返ってくる求人の年収帯が、いま市場があなたに払う金額の目安になるわ。割増額とその金額を並べて初めて、判断材料が揃うの。

管理職・専門職として年収600万円以上で働いてきた方は、40〜50代のハイクラス層を専門に扱うエージェントに、いまの条件を先に伝えて反応を見ておくと判断が早くなります。▶ 40〜50代の管理職・専門職向け求人を、条件を先に伝えて相談する|JAC Recruitment(無料登録)

よくある質問

Q. 割増分にも退職所得控除は使えますか?

会社が退職を理由に支払う退職手当等であれば、割増分を含めた総額が退職所得として扱われるのが基本です。ただし名目が「特別功労金」「転進支援金」などの場合、税務上の取り扱いが変わることがあります。支給額の内訳と、それぞれが退職所得として源泉徴収されるのかを支給前に人事へ確認してください。金額が大きいので、迷う場合は税務署や税理士への相談をおすすめします。

Q. 応募したあとで撤回できますか?

応募が「合意退職の申込み」なのか、会社の承諾で退職が確定するのかは制度設計によって異なります。募集要項に撤回に関する定めがあるかを、応じる前に必ず確認してください。不利益な扱いを受けていると感じる場合は、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーが無料で相談を受け付けています

あわせて読みたい関連記事

まとめ

りこ先生
りこ先生
5項目をまとめておくわね。①本来の退職金と割増分を分ける ②手取りを退職所得控除で計算する ③離職票の理由を確認する ④退職後1年の固定費を並べる ⑤応じた場合と断った場合の半年後を書き出すこの5つが埋まってから判を押しても、たいていは間に合うわ。
ユウタ
ユウタ
結局のところ、金額そのものより「何と比べるか」と「そのあと何が起きるか」なんだ。最後にひとつ。この記事は「応じるべき」とも「断るべき」とも言っていない。判断は人によって違って当然だし、正解を外から決められるものでもないからね。ただ、情報が足りないまま期限に押されて決めるのだけは避けてほしい。埋まっていない欄があるなら、まずそこからだよ。

※本記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務・法律判断を行うものではありません。退職金の課税や雇用保険の受給区分の最終的な取り扱いは、税務署・所轄のハローワークにご確認ください。
参考:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」/国税庁 タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」/ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」「基本手当の所定給付日数」/東京商工リサーチ「2025年『早期・希望退職募集』は1万7,875人」

コメント

タイトルとURLをコピーしました