50代の求人は本当に増えている?「50代以上に積極的68.4%」の中身を読む

転職コラム





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「50代の採用が増えている」「シニア人材の再評価が進む」——こういう見出しを見て、少し期待した。けれど実際に応募してみると、返ってくるのは不採用通知ばかり。「増えているって、どこの話なんだ?」という気持ちで検索した方が多いと思います。

この記事では、よく引用される「50代以上の採用に積極的な企業は68.4%」という数字を、出典まで戻って中身を読み解きます。結論から言うと、この数字は正しい。ただし読み方を間違えると、そのまま落ち続ける種類の数字です。

  1. 結論|増えているのは「求人数」ではなく「検討する企業の割合」
    1. 68.4%は「採用意欲」を聞いた数字で、求人数ではない
    2. 20〜40代との差が、そのまま通過率の体感差になる
  2. 68.4%の中身を読む|誰に、いつ、何を聞いた数字か
    1. 調査対象は人事担当者1,500名・2024年12月の回答
    2. 「積極的」には”条件が合えば”が含まれている
  3. なぜ「積極的68.4%」でも書類が通らないのか
    1. 意欲の母集団と、実際のポジション数は別物
    2. 50代の求人は”欠員補充”ではなく”課題解決”で立つ
    3. 職務経歴書が”補充要員”の書き方のままになっている
  4. 増えている求人は「どこに」増えているのか
    1. 若手が採れない領域に、上へ広げる動きが出ている
    2. 求められるのは「管理できる人」より「実務が回せる人」
    3. 公開求人より、非公開・特化型に寄りやすい
  5. 「増えている」を自分の通過率に変える3つの手順
    1. 手順1|応募先を”数”ではなく”一致度”で選ぶ
    2. 手順2|経歴書を「年表」から「解決した課題」の並びに書き換える
    3. 手順3|ミドル・ハイクラス特化の窓口をひとつ持つ
  6. 数字に煽られたときに起きる3つの失敗
  7. よくある質問
    1. Q. 50代でも未経験の職種に移れますか?
    2. Q. 求人サイトを見ても50代向けが見つかりません
    3. Q. どのくらいの期間を見ておけばいいですか?
  8. あわせて読みたい関連記事
  9. まとめ

結論|増えているのは「求人数」ではなく「検討する企業の割合」

最初に答えを書きます。50代の採用環境が上向いているのは事実です。ただし、その根拠として使われている数字が示しているのは、求人票の枚数ではありません。

68.4%は「採用意欲」を聞いた数字で、求人数ではない

マイナビの「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」によると、50代以上の採用について「積極的」と答えた企業は68.4%、前年より2.2ポイント増加しています(出典:マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2025年版」)。

ここで大事なのは、この設問が企業の人事担当者に「意欲」を尋ねたものだという点です。「50代を何人採用したか」でも「50代向け求人を何件出したか」でもありません。気持ちの調査であって、枠の調査ではない——ここが出発点です。

20〜40代との差が、そのまま通過率の体感差になる

同じ調査で、20〜40代の採用に積極的という回答は8割を超えています。50代以上の68.4%は「他年代と比べて低い」と明記された数字です。

つまり、増えてはいるがまだ最下位。しかも意欲の段階ですでに1割以上の差がある。この差は、選考が進むほど広がる方向に効きます。「増えている」と「自分が通る」の間には、この距離があるということです。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
素朴な疑問なんですが、7割の会社が「積極的」って言ってるなら、10社受ければ7社は前向きに見てくれるってことじゃないんですか?
りこ先生(CDA)
りこ先生
そう読みたくなるわよね。でもこれは「採用対象として検討し得るか」を企業に聞いた割合なの。何人採るか、どんな条件で採るかは別の話。「検討する」と「通す」は、まったく違う動詞よ。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
僕自身の転職活動でも、そこは痛感したよ。最初の20件は書類で全滅だった。求人はいくらでもあったし、募集要項の年齢欄にも引っかかっていない。それでも通らない。数字と自分の結果が食い違うと、まず自分を疑ってしまうんだけど、原因はもっと手前にあったんだ。

68.4%の中身を読む|誰に、いつ、何を聞いた数字か

数字は、条件を確認して初めて使えるものになります。この調査の前提を押さえておきましょう。

調査対象は人事担当者1,500名・2024年12月の回答

この調査は2024年12月16日〜19日にインターネットで実施され、有効回答は1,500名。対象は従業員3名以上の企業で、直近に中途採用業務を担当し、採用費用の管理・運用に携わっている人事担当者です。

つまり採用の現場にいる人の実感であり、統計としての質は高い。ただし答えているのは「会社としての方針・意欲」であって、実際の入社実績ではない、という性格の数字です。

「積極的」には”条件が合えば”が含まれている

採用意欲を尋ねる設問で「積極的」を選ぶとき、人事担当者の頭にあるのはたいてい「うちの課題を解ける人なら、年齢は問わない」という条件つきの積極性です。年齢の枠を外した、とは言っていません。

ここを「50代でも歓迎」と読み替えてしまうと、応募先の選び方が雑になります。68.4%は門戸開放の宣言ではなく、条件が合ったときに検討する企業の割合——この解釈が、実務上いちばん近いはずです。

そして前年比+2.2ポイントという増加は、方向としては確かな追い風です。若手の採用が難しくなり、対象年齢を上に広げる企業が出てきている流れを反映しています。

ただ2.2ポイントは、1年で状況が一変するほどの変化ではありません。「去年より少し戸が開いた」程度に見積もっておくのが、期待値としては健全です。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
なるほど……。ニュースの見出しだけ見て「今がチャンスだ」と思い込むのは危ないですね。
りこ先生(CDA)
りこ先生
危ないのは「チャンスだ」と思うことじゃなくて、チャンスだから準備しなくていい、と思うことね。追い風が吹いていても、帆を張っていない船は進まないの。

なぜ「積極的68.4%」でも書類が通らないのか

意欲があるのに落ちる。この矛盾には、はっきりした理由があります。

意欲の母集団と、実際のポジション数は別物

「50代も検討する」と答えた企業でも、実際に用意しているポジションは年に1〜2枠ということが普通にあります。意欲は全社的な方針として答えられますが、枠は部署ごとの事情で決まるからです。

68.4%という数字は「戸に鍵はかかっていない」という情報で、「部屋が空いている」という情報ではありません。

50代の求人は”欠員補充”ではなく”課題解決”で立つ

ここが構造の核心です。若手の求人は、辞めた人の穴を埋める欠員補充で立ちます。一方で50代の求人は、「この課題を解ける人を、経験ごと買いたい」という具体的な理由がないと立ちません

だから募集要項も抽象的にならず、業務が細かく書かれている。逆に言えば、要件との一致がそのまま合否になるということです。「近い経験があります」では届かない。

職務経歴書が”補充要員”の書き方のままになっている

50代で書類が通らないケースで多いのが、経歴書が「何をやってきたか」の年表になっている状態です。年表は補充要員を選ぶときの読み物であって、課題解決の担い手を探している側は、そこを読みません。

読まれるのは「その経験で、うちの何が良くなるのか」の部分です。書く材料は持っているのに、置き場所が違うために伝わっていない——これは技術で直せる部分です。

ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
僕の20件全滅も、まさにこれだった。年表を書いて、それを20社に同じまま送っていたんだよ。数を打てば当たると思っていたけど、当たらない打ち方を20回繰り返しただけだった。
みなと(読者代表・35歳)
みなと
それ、けっこうこたえますね……。20回落ちたら、普通は「年齢のせいだ」って結論にしちゃいそうです。
りこ先生(CDA)
りこ先生
相談の場でも、いちばん多い誤診がそれよ。年齢は変えられないから、そこに原因を置くと打つ手がなくなるの。だから私は、原因を「書き方」と「選び方」から先に疑ってもらうようにしているわ。

増えている求人は「どこに」増えているのか

追い風が吹いている場所には、偏りがあります。

若手が採れない領域に、上へ広げる動きが出ている

年代の枠を上に広げる判断は、若手の応募が集まらなかった結果として起きます。だから対象年齢の拡大は全業種で一様に進むのではなく、人手が足りない領域から順に起きる。ここは求人を眺めるときの視点になります。

求められるのは「管理できる人」より「実務が回せる人」

50代の募集で頻繁に見るのが、プレイングでの採用です。マネジメント経験は前提として見られつつ、決め手になるのは自分の手で回せるかどうか。ここを「管理職として」と押し出しすぎると、要件とずれます。

公開求人より、非公開・特化型に寄りやすい

課題解決型のポジションは、社内の事情まで説明しないと候補者に伝わりません。そのため広く公開せず、エージェント経由で探す形になりやすい。求人サイトだけを見て「増えていない」と判断すると、この層が丸ごと視界から外れます。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
ということは、求人サイトで探した感触だけで市場を判断するのは早いってことですか。
りこ先生(CDA)
りこ先生
そうね。見えている棚だけを見て「品切れだ」と判断している状態に近いわ。見えない棚があること自体を、まず前提に入れるところからよ。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
転職するかどうかを決める前に、自分の経験に今いくらの値段がつくのかだけ先に見ておくのはおすすめだよ。▶ 管理職・専門職の求人を扱うJAC Recruitment(無料登録)のような特化型は、届く求人のレンジで相場が測れる。応募しなくても情報は入ってくるからね。

「増えている」を自分の通過率に変える3つの手順

数字を眺めて終わらせないために、順番を決めておきます。

手順1|応募先を”数”ではなく”一致度”で選ぶ

50代の求人が課題解決型で立つ以上、要件と自分の経験が具体的に重なる求人だけを選ぶほうが、通過率は上がります。1日に何件応募したかではなく、募集要項の業務内容を3行以上なぞれるかで選ぶ。この基準に変えるだけで、送る先の数はかなり減ります。

手順2|経歴書を「年表」から「解決した課題」の並びに書き換える

やってきた仕事を、「どんな状態を、何をして、どう変えたか」の単位に分解して書き直します。数字が出せる部分は数字で、出せない部分は状態の変化で書く。年表を消すのではなく、年表の上に解決の見出しを立てるイメージです。

手順3|ミドル・ハイクラス特化の窓口をひとつ持つ

非公開に寄りやすい層を見るには、その層を扱う窓口が要ります。総合型を1社、特化型を1社、という組み合わせが現実的です。登録は情報を取るための手段であって、転職を決める行為ではありません▶ JAC Recruitmentに無料登録して求人レンジを確認するのは、判断材料を増やす動きとして先に済ませておけます。

みなと(読者代表・35歳)
みなと
応募数を減らすって、勇気がいりますね。減らしたら受かる確率も下がる気がして。
りこ先生(CDA)
りこ先生
減らすというより配り直すのよ。20社に汎用の書類を送る時間で、5社に合わせて書ける。同じ時間の使い道を変えるだけ、と考えると動きやすいわ。

数字に煽られたときに起きる3つの失敗

「増えている」を鵜呑みにすると、決まった形の失敗が起きます。よく見るのは次の3つです。

  • 失敗1|在職中なのに、先に辞めてしまう|市場が良いと聞いて、腰を据えて探すために退職する。これはいちばん取り返しがつきにくい選択です。収入が続いている状態なら、条件の合わない求人を断れます。断れる立場かどうかで、最後に決まる条件は変わります。
  • 失敗2|落ちた原因を全部「年齢」に置いてしまう|年齢は動かせません。動かせないところに原因を置くと、改善が止まります。まず書き方と選び方を疑い、それでも通らなければ条件を見直す——この順番だけは崩さないほうがいい。
  • 失敗3|数だけ増やして、疲れて止まる|不採用が続くと、活動そのものを止めたくなります。ここで止まると、状況が良くなっても戻ってこられません。応募のペースは、続けられる速さに合わせておくのが結果的に早い。
みなと(読者代表・35歳)
みなと
失敗1は、逆な気がしていました。辞めてからのほうが集中できて早いんじゃないかって。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
集中はできるよ。でも断れなくなるんだ。収入が止まった状態で「条件が合わないので見送ります」と言うのは、想像よりずっと難しい。時間を買ったつもりが、交渉力を売っていた——という話になりやすい。
りこ先生(CDA)
りこ先生
失敗3も見落とされがちね。転職活動は短距離走のつもりで始めて、中距離だったと途中で気づくものなの。ペース配分を最初に決めておくと、途中で止まらずに済むわ。

よくある質問

Q. 50代でも未経験の職種に移れますか?

可能性はゼロではありませんが、課題解決型の採用とは相性が良くありません。移るなら業種を変えて職種を残す、あるいは職種を変えて業種を残す、という片方だけの変更のほうが現実的です。

Q. 求人サイトを見ても50代向けが見つかりません

年齢を条件に書くことは原則できないため、「50代向け」と明示された求人はほとんど存在しません。見るべきは年齢欄ではなく、求められている業務範囲と、そこに自分の経験が重なるかどうかです。

Q. どのくらいの期間を見ておけばいいですか?

個人差が大きく、断定はできません。ただ年代が上がるほど1社あたりの選考が長くなる傾向はあります。短期決戦を前提にしない、というだけでも判断は落ち着きます。

ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
いま振り返ると、20件落ちた時期がいちばん焦っていたし、いちばん雑な書類を送っていた。焦りと質は、はっきり反比例するんだと思う。
みなと(読者代表・35歳)
みなと
まずは1社ぶんだけ、募集要項に合わせて書き直してみる——そのくらいから始めればいいんですね。
りこ先生(CDA)
りこ先生
それで十分よ。1社ぶん書き切れれば、2社目からは部品が使い回せるの。最初の1通がいちばん重いだけ。

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まとめ

「50代の求人は増えているのか」への答えは、企業の採用意欲は確かに上向いているが、それは枠が開いたという意味ではない、です。

  • 根拠の数字|50代以上の採用に積極的な企業は68.4%、前年比+2.2pt(マイナビ・2024年12月調査/有効回答1,500名)
  • 読み方|これは「意欲」の割合。求人数でも、採用実績でもない
  • 年代差|20〜40代は8割超。50代以上は他年代と比べて低い、と調査自身が明記している
  • 通らない理由|50代の求人は欠員補充ではなく課題解決型で立つ。要件との一致がそのまま合否になる
  • 打ち手|応募先は一致度で選ぶ/経歴書を年表から解決の並びに書き換える/特化型の窓口をひとつ持つ

数字は、自分を励ますためにも、諦めるためにも使えてしまいます。使うなら、次の1通をどう書くかを決めるために使うのがいちばん実りがあります。今週やることは、気になっている求人の募集要項を1枚印刷して、自分の経験と重なる行に線を引くところまでで十分です。

りこ先生(CDA)
りこ先生
最後にひとつ。ここで挙げた数字は市場全体の傾向で、あなたの通過率を保証するものではないわ。判断は、実際に届いた求人と、返ってきた反応で更新していってね。
ユウタ(管理人・42歳)
ユウタ
20件落ちても、活動をやめなければ手札は減らない。減るのは、送るのをやめたときだけだよ。
みなと(読者代表・35歳)
みなと
今日は「増えている」の意味がやっと分かりました。まず1枚、線を引いてみます。

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